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市場開拓を行い商品を普及させる『拡販応援』コラム 第6話 強みを活かせば突破口は見つかる

『新規参入メーカーが増えて、市場競争が激しさを増しています』
ある経営者の方と会話していた時に相手の口から出た言葉です。

私も会社員時代に、同様の経験をしました。
競合とのシェア争いをしていたら、ある日突然新規参入メーカーが何社も出て来たのです。
外部環境の変化です。

中には黒船のごとく、1兆円企業が参入して来て市場競争が激化し、その中で勝ち続けないと生き抜く事が出来ないと言う状況もありました。
相手が黒船でも、絶対に負けてはいけないのです。
負けない所か、絶対1位を掴み取って王者にならないとダメなのです。
そのためには、物凄く研究をして黒船を追い返すか沈没させないといけない訳です。
この様に商売をしていると自分たちの力ではコントロール出来ない現象が起こるのです。

今回のコラムは、自分たちの力ではコントロール出来ない外部環境の変化が起きた時にどうするか?という事を事例で綴ってみたいと思います。

 弊社のオフィスがある東京・銀座から1キロほど離れた所には『築地』があります。
築地と言えば日本の台所。その日本の台所(東京都中央卸売市場)が去年の10月に豊洲に移転した事は記憶に新しいです。

2001年に東京都中央卸売市場が築地から豊洲に移転するが決まりました。築地にはプロの買い付け人たちが競りで買い物をする『場内市場』と飲食店の買出人を相手にする『場外市場』がありました。ちなみにどちらの市場も一般の方が食事をする事は可能でした。
築地から豊洲に移転するのは、600店舗程の仲卸が入る『場内市場』で、『場外市場』は築地に残留です。場内市場が移転する事は、場外市場の方達ではコントロール出来ない外部環境の変化です。
場内が豊洲に移転する事で、築地に残る場外はどうなってしまうのか?と思い、行って来ました。

『おおっ!物凄い活気だな!』

平日の10時に築地場外に行ったら、90%以上は外国人観光客でした。アジア系だけではなく、欧米からの観光客もいて大変賑わっていました。

築地が活気付いている事は、大変素晴らしい事です。しかし余りにも活気があったため気になり、市場を歩いて調べてみました。

関係者に話を伺うと、やはり場内が豊洲に移転する事で客足が減った事があったそうです。
しかし、築地場外は自分たちが持つ強みを活かした取り組みをして活気を取り戻していたのです。
調べた所、以下の点が分かりました。

①築地は立地が良い
1キロ隣には銀座があります。銀座は外国人観光客から注目される東京を代表する観光スポットです。築地を観光した後に銀座にはすぐに行けます。
また、東京メトロ日比谷線と都営地下鉄大江戸線が乗り入れているため、築地を観光した後、浅草、新宿、六本木と主要都市へ行くのに交通の便が抜群に良いのです。

②歴史がある
83年の歴史があるため、雰囲気からして真似が出来ません。
独特の雰囲気があります。

③安全管理の徹底
築地場外の基本ルールとして、飲食は店の中ですると言う決まりがあるそうです。そのため食の安全と言う観点で見ると、安全管理をしているから食中毒を出した事がないそうです。屋台の様になっている場所で食べられる店もありますが、ゴミ箱が設置されているため、食べた後に出る容器や箸などが道に散乱している事はありません。
この様な要件があるため、外国人観光客が行きたくなるスポットになっているのでしょう。

④環境変化への適用
場外市場は、元々は買い出し人を相手に商売をしていたそうです。しかし、平成に入ってから徐々に外国人観光客が増えて来た事から、業務用相手だけでなく、一般向けにも開放するなど変化に対応して来ました。

⑤築地魚河岸の建設
場外市場の中には2018年10月にオープンした築地魚河岸があります。
魚河岸ができた事で、銀座・有楽町・新橋にあるお店は、わざわざ豊洲まで行かなくても済むと言う利便性があります。

さらに、これはインタビューで聞いた話なのですが、豊洲市場では仲卸業者から一般の人が買い付けをする事は出来ません。しかし、築地魚河岸では5:00〜9:00まではプロの買い出し人専用とし、9:00以降は一般の人でも仲卸業者が目利きした魚を購入する事ができるそうです。余談ですが、築地魚河岸には豊洲市場に入っている仲卸業者のみが入れるとの事です。

⑥『築技(つきわざ)』プロジェクトの発足
築地ならではの文化と技を発信させて築地の魅力を残そうと展開しているプロジェクトです。これもインタビューで聞いた話なのですが、築地は単にモノを売る場所ではなく、各店舗には素材の選び方から調理方法、道具の使い方など技を持っている。これが築地の文化と魅力だと仰ってました。

『鰹節』と一口に言っても魚の部位によって味が変わる。そのため、買い物に来たお客様には用途によって合う部位をオススメしたりするそうです。

また、元々は各商店400店舗程から成る築地場外ですが、店舗間で連携を取っているそうです。例えば海苔を扱うA店があるとします。A店にない海苔を買いに来たお客様には、B店に取り扱いがあるからとB店を紹介します。こうする事でお客様は買い物を楽しめるし安心できるのです。

 築地が持っている強みを活かし、現状に甘んじる事なく環境変化に対応してきた事で、外部環境の変化が起きても、築地場外は独自の市場として運営できるのです。
そして、個人商店の集合体ではなく、『築地と言う組織』になって強みを発揮して魅力を発信できる。これが築地が世界の『TSUKIJI』である所以なのでは?と考えます。
そして築地場外が活気を取り戻す突破口になったのでないでしょうか。

自分たちの力ではコントロールが出来ない外部環境の変化が起きた場合どうするか?

御社は、強みを活かして市場開拓をしていますか?