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市場開拓を行い商品を普及させる『拡販応援』コラム 第16話 食べれば分かる!では一生食べてもらえない

「ウチの商品は使ってもらえさえすれば気に入ってもらえると思っているんですがね・・・」
新規事業として面白いアイデアを商品化させた、ある製造業の社長の言葉です。

 競合を含む既存の商品に対して、全く新しい付加価値を付けた商品で、この商品を必要としている人は大勢いるだろうし、販売は順調だろうと思い実績を訊いてみました。
しかし販売実績は数年経っても「ゼロ」だと言うのです。
受託製造から脱却し、新規事業を立ち上げ自社ブランド商品を投入したが成果を出せず、撤退まで考えているとの事・・・。

社長の表情は、先ほどまで楽しそうに商品の説明をしてくれている時とは反対に、とても暗く、寂しそうな表情になっていました。

 商品は面白いのに、どうして販売実績がゼロなのかが気になったので、どんな体制で販売活動を実施しているのか訊いてみました。
「社内で営業部隊に商品説明会を行なったので、あとは営業部隊が自分たちで考えて売ってくると思っているので自由にさせていますよ。」

この言葉を聞いて開いた口が塞がりませんでした。

「自由」とは聞こえは良いですが、仕組み(今回で言えば販売・営業の仕組み)が社内に構築されていて、営業部隊は仕組みに沿ってしっかり活動すれば年度目標が達成する、または近づく様になっているなら個々の活動は自由で良いと思います。
それこそ個人の営業マンとしては、社長や管理職からいちいち「アレやれ、コレやれ、ちゃんとやったか?」と言い続けられると疲れてしまいます。

仕組みがしっかりと機能する中で自由にやらせてあげて、営業マンが困って相談してきたらやり方等をアドバイスしたり、サポートする等して成功体験を積んでもらい強くなる。
こう言った自立して前向きに取り組める環境がある中での自由なら大賛成です。

でも冒頭の社長は違います。要するに「商品を作ったから、あとは売ってこい」なのです。
商品を作ったら終わりで、肝心な販売活動を放棄したと言えるでしょう。

「良い商品」だけど「売れない商品」です。

どちらも同じ「自由」ですが、営業部隊が活動を行い成果を出すと言う面ではまるで違います。
ましてや「作ったから売ってこい」の状態で、既存事業の営業部隊に片手間でセールスをさせていると言うのだから苦戦して当然と言えるでしょう。

本コラムの第11話にも綴りましたが、営業マンに武器を持たせないで販売活動をさせることは、丸裸になった状態で戦場へ放り込むことと同じです。営業マンに武器を持たせ、戦い方のシナリオがあるから、侍となり勢い良く戦えるのです。

逆に売れる方法が分からずに、初めて見た商品をどうやって仕掛けたら良いのか分からない状態では、営業部隊は大苦戦してしまいます。

ましてや営業マンの成績の基準が「売上高」になっているなら、販売に苦戦するかもしれない初めて見る新商品を提案することよりも、販売に慣れている従来品を提案することに力を注いでしまいます。販売が困難な状態が続くと、誰も新商品を販売しようとならなくなります。

 既存事業は既に走っているので、ある程度は自動操縦が効くかもしれませんが、新規事業商品・新市場参入は違います。未開拓の新しい場所に行くためのロケットを打ち上げる様なものです。
ロケットを打ち上げるためには計画と準備が必要なため、多くのエネルギーを使います。

しかし膨大なエネルギーを使う代わりに、見事打ち上げに成功し軌道に乗れば誰も見たことがない景色を見ることが出来るのです。

でも計画と準備をしっかりせず、ロケットを飛ばそうとすると・・・
「3・2・1・ドッカーン」と爆発し、砕け散ってしまうのです。
事実、大手企業の新規事業でも販売戦略を立てる事もなく、見切り発車をしてしまい実績が出ず、「撤退」する事業もあります。嘘の様な本当の話です。

市場に認知されていない商品を普及させたいと願うなら、しっかりと新規開拓の体制を作ってシェアを獲得し、その後のシェア拡大に一気に繋げていかなくてはなりません。

他人依存、販売放棄で売れることはありません。

 誤解を恐れず申し上げますと、「作っただけ」では価値は何も生まれません。
製造業の社長であれば必ず製販一体となって戦略を考えて行きましょう。
世の中が良くなるかもしれない商品を開発しても、販売に行かないのならただの自己満足です。
自己満足の状態では、新規事業を立てても社員の思いは「また社長が何か始めたよ。どうせ営業に丸投げして、売って来いなんて言い出すんだよな。」とモチベーションが下がるだけならまだしも、疲れて離職してしまう事もあります。

 例えば念願だったラーメン屋さんを開業する運びになったとしましょう。
店主こだわりの新鮮素材と製法で丹精込めて作ったスープ。そしてスープの良さを最大限に生かし切るために独自開発された麺。「ウチのラーメンを食べてもらって、お客さんに元気になって欲しい!」そんな想いを込めて一生懸命作ったラーメンでも、そこの場所に店主のお店があると誰にも知られなければ、当然ですがお客様は誰もやってきません。

「ウチのラーメンは最高の一杯だ。食べれば分かる!」では一生食べてもらえません。

想いを込めたラーメンをお客様に食べてもらい、元気になってもらいたいと心から願うなら、食べてもらえる様に見込み客に刺さるメッセージを発信して食べてもらいましょう!

ラーメンを食べたお客様が「あーっ、美味しかった!店主の真心まで頂いたので何だか元気になりました。」「明日からの活力が湧いてきたぞー!」と言ってもらえたら、リピートしてもらったり、家族や友人と一緒に来店してもらう仕組みを考える等、次に繋がる手を打って行きましょう!!

御社は、想いを込めて開発した商品を喜んで購入してもらえる活動をしていますか?

想いを込めて開発した商品を市場に普及させるために、新規開拓の体制づくりを当社は全力で支援しております。